大崎清夏 × 中間アヤカ × 佐々木美佳『渋谷への手紙 〜LOVE HATE SHOW〜』

- CATEGORY
- イベント形態|パフォーマンス
- precogの業務|イベント制作, バリアフリー, 広報PR
- 表現分野|ダンス, 映像, 演劇
- 開催年|2024
プロジェクト概要
詩人の大崎清夏、ダンサーの中間アヤカ、映画監督の佐々木美佳の三人による初のコラボレーションプロジェクト。渋谷を舞台に、かつて実在した「恋文横丁」をモチーフとしたサイトスペシフィックかつ領域横断的なパフォーマンス作品を立ち上げました。株式会社precogでは企画・制作を担当しました。
◼︎precogの業務
公演制作、客席設計、コミュニケーションデザイン・広報PR
◼︎プロジェクト期間
2024年4月〜2025年1月
◼︎プロジェクト体制
主催・企画制作:株式会社precog
助成:芸術文化振興基金、公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京【東京ライブ・ステージ応援助成/東京芸術文化鑑賞サポート助成】
本事業の鑑賞サポートは、誰もが芸術文化に触れることができる社会の実現に向けて、「東京文化戦略 2030」の取組「クリエイティブ・ウェルビーイング・トーキョー」の一環としてアーツカウンシル東京が助成しています。
協力:小声
会場協力:404 Not Found
稽古場協力:Yuuragi.
◼︎関連リンク
公式サイト:https://lovehateshow-shibuya.tumblr.com/
作品概要
渋谷にはかつて「恋文横丁」という名前の通りがありました。その名前は、そこに恋文を代筆する店があったことに由来するものだと言います。
「恋文横丁」という名が付けられてから半世紀。昭和から平成、そして令和へと時代を経てきた渋谷の街はその姿をすっかり変え、そして今も目まぐるしく変わり続けています。
そんな変わりゆく渋谷に向けて、3名のアーティストが今、恋文をしたためます。
さまざまな分野と積極的に交わり、言葉の可能性を拡張し続ける詩人・大崎清夏、「現象」としてのダンスを追い求めパフォーマンスを展開するダンサー・中間アヤカ、ドキュメンタリー映画『タゴール・ソングス』で詩や歌の存在に繊細に迫った映画監督・佐々木美佳。このプロジェクトでは、三人による初のコラボレーションが実現しました。
舞台は、近年の渋谷の大規模な再開発によって誕生したばかりの商業施設Shibuya Sakura Stageの一角にあるスペース404 Not Found。
渋谷の真ん中で、言葉が、映像が、ダンスが、交差します。
プロセス
■大崎清夏とのコラボレーションプロジェクトの新たな展開
precogではこれまで「ダンスのアクセシビリティを考えるラボ~視覚障害者と味わうダンス観賞篇~」(2021)や大崎清夏×金氏徹平『池上上々交換日記』(2022)など、異なる分野のアーティストとのコラボレーションによる複数のプロジェクトで大崎と協働してきました。本プロジェクトはその新たな展開として構想されたものです。
大崎との数度のディスカッションを経て言葉・身体・映像の3つの表現メディアをかけ合わせた領域横断的なパフォーマンス作品というコンセプトが決定。コラボレーターを検討し、中間と佐々木の参加が決まりました。
■渋谷を舞台にしたプロジェクトにふさわしい会場の選定
プロジェクトの検討段階で提案された渋谷の街を舞台にした作品というコンセプトに基づき、プロジェクトの初期段階ではまず、アーティストとともにいくつかの公演会場候補のリサーチを実施しました。最終的に、オープンしたばかりのShibuya Sakura Stageのイベントスペース404 Not Foundが公演会場に決定。大規模な再開発の最中にある渋谷を象徴する建物であり、渋谷駅に隣接し、人の往来を通して渋谷の街の空気感が感じられる場所でもあることが決め手となりました。
パフォーミングアーツの公演会場としての利用は新しいイベントスペースとして多様な利用者を求める404 Not Found側のニーズともマッチし、会場協力というかたちで連携できることも決まりました。
■コラボレーションのための創作環境の構築
三人のアーティストがそれぞれ異なる都市を拠点に活動しているため、初期段階ではオンラインツールを活用したミーティングを中心にクリエーションを進めました。異なる分野の、しかも初対面のアーティスト三人によるコラボレーションであるということを踏まえ、オンラインホワイトボードツールを利用するなど、フラットにアイディアを交わせる場を構築することを意識したコミュニケーション設計を行ないました。
対面でのクリエーションにおいては、渋谷近辺に稽古場を構えることで、リサーチとクリエーションをシームレスに行なえる環境を構築しました。
<クリエーションの様子>
■「愛の手紙」公募のコーディネート
今回のプロジェクトでは一般の方から「愛の手紙」を公募し、その一部をパフォーマンスで使用しました。匿名的な渋谷の街から個人の顔が見えるリアルな言葉を拾い上げたいというアーティストからの発案により、precogがコーディネートを担当し公募を実施。実際に渋谷の街を歩く人にも参加してもらいたいという意図で、404 Not Foundの協力のもと、会場内のカフェに便箋と封筒、ポストを設置し手紙を募集したところ、約20通の手紙が集まりました。。結果として、たまたま渋谷を訪れた方に、手紙を投函するかたちでプロジェクトに参加していただくことが叶い、渋谷という街との関わりという点において作品の射程を広げることができました。
<手紙募集用ポスト>
■鑑賞サポートのコーディネートと実施
本プロジェクトでは様々な方に作品をお楽しみいただくため、鑑賞サポートとして音声ガイドの提供(提供:舞台ナビLAMP)、舞台説明会の実施、最寄駅からの送迎、上演中のUDトークの使用、筆談対応をコーディネート・実施しました。
また、再開発で道路の状況が頻繁に変化する状況を踏まえ、観客がよりスムーズに会場にアクセスできるよう、駅から会場までの道順を案内する動画を作成・発信しました。
■上演環境の調整と構築
会場となった404 Not Foundについては、パフォーミングアーツでの利用も長期間の会場レンタルも今回が初めての試みとなったため、会場の担当者とはより丁寧なコミュニケーションを行いながらプロジェクトを進めました。
周囲の環境に開かれたオープンなスペースであることを前提に会場を選定したため、そのような空間でのクリエーションにも臨機応変に対応できるスタッフをコーディネート。実際に会場に入ってからも、アーティスト・スタッフの双方が積極的に意見を出し合うことで、渋谷という街と404 Not Foundという会場の固有性、そして街の人通りや聞こえてくる音などの環境を活かした上演を実現することができました。
成果
■異なるジャンル間での新たなコラボレーションの実現
precogと継続的に協働を行なってきた大崎と新たなプロジェクトを展開できたことに加え、中間・佐々木という二人の新たなアーティストとprecogが協働し、また、初めて出会う三人のコラボレーションが実現したことはこのプロジェクトの最大の成果です。
言葉・身体・映像という異なるメディアを扱うアーティストのコラボレーションが実現したことで、それぞれの分野の観客が混ざり合う場を実現することにもつながりました。
■新しいイベントスペースのポテンシャルの発見
これまでパフォーミングアーツの会場として使用されたことのなかった404 Not Foundという新しい場を公演会場として見出したこともこのプロジェクトの一つの成果と言えます。
渋谷の街にフォーカスし、場所の固有性を活かしたプロジェクトの性質も手伝って、来場した舞台芸術関係者に404 Not Foundという場所への興味関心を喚起することもできました。
■若手スタッフによる実験的プロジェクトの実現
本プロジェクトはprecogのアソシエイト・プロジェクトマネージャーである遠藤七海が、企画の立ち上げに大きく関わって生まれたものです。
アソシエイト(外部協力)として協働する若手のプロジェクトマネージャーによる先鋭的な企画が実現したことは、今後のprecogの展開においても大きな意義を持つものと言えます。
ギャラリー
広報制作物
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メインビジュアル(宣伝美術:廣田碧(看太郎))
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手紙募集チラシ
メディア掲載情報
- 2024年12月27日:【東京】渋谷への手紙 〜LOVE HATE SHOW〜 愛の手紙を募集中|artscape
- 2025年1月11日:大崎清夏・中間アヤカ・佐々木美佳が“恋文”巡って描く「渋谷への手紙」|ステージナタリー
- 2025年1月24日:渋谷への手紙 〜LOVE HATE SHOW〜 詩人 × ダンサー × 映画監督のコラボ|渋谷文化プロジェクト
プレスリリース
クレジット
構成:大崎清夏(語る人)、中間アヤカ(踊る人)、佐々木美佳(映す人)
空間設計:iii architects
舞台監督:河内崇
映像:須藤崇規
音響:中原楽(KARABINER inc.)
宣伝美術:廣田碧(看太郎)
音声ガイド:舞台ナビLAMP
プロデューサー:黄木多美子(precog)、遠藤七海
鑑賞サポート制作:加藤奈紬
制作アシスタント:石川佳音(precog)
主催・企画制作:株式会社precog
助成:芸術文化振興基金、公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京【東京ライブ・ステージ応援助成/東京芸術文化鑑賞サポート助成】
本事業の鑑賞サポートは、誰もが芸術文化に触れることができる社会の実現に向けて、「東京文化戦略 2030」の取組「クリエイティブ・ウェルビーイング・トーキョー」の一環としてアーツカウンシル東京が助成しています。
協力:小声
会場協力:404 Not Found
稽古場協力:Yuuragi.