国際芸術祭「あいち2025」本日(9/13)開幕!

代表・中村茜がパフォーミングアーツ部門のキュレーターを務める、国際芸術祭「あいち2025」が、本日(9月13日)に開幕しました。11月30日まで79日間にわたって愛知芸術文化センター、愛知県陶磁美術館、瀬戸市のまちなかを主な会場に展開されます。
開幕記者会見には、大林剛郎氏(国際芸術祭「あいち」組織委員会会長)、フール・アル・カシミ氏(芸術監督)、飯田志保子氏(学芸統括)、入澤聖明氏(キュレーター[現代美術])、中村茜(キュレーター[パフォーミングアーツ])、辻琢磨氏(キュレーター[ラーニング])が登壇し、アーティストを中心に共に検討を重ねた新たなステートメントも発表されました。
ステートメント
国際芸術祭「あいち2025」は、「先住民族の権利に関する国際連合宣言」(2007年)をふまえ、すべての先住民族および先住民のアイデンティティをもつ人々の歴史、文化、権利、そして尊厳を尊重します。
また、民族や国籍、人種、皮膚の色、血統や家柄、ジェンダー、セクシャリティ、障がい、疾病、年齢、宗教など、属性を理由として差別する排他的言動や、その根幹にある優生思想(生きるに値しない命があるというあらゆる考え方)を許容せず、この芸術祭が、分断を超えた未来につながる新たな視点や可能性を見出す機会となることを目指します。
そして、中村茜がキュレーションしたパフォーミングアーツ部門では、国内外から9組のアーティストを迎え、ダンス・演劇・パフォーマンス・映像・サウンドなど多彩な表現をお届けします。新作や日本初演も含む貴重なラインナップにどうぞご期待ください。
パフォーミングアーツプログラムの キュレーションについて
パフォーミングアーツプログラムでは、ダンス、音楽、パフォーマティブ・インスタレーション、サウンドスカルプチャー、影絵、演劇、ストーリーテリングなど、身体による多彩な表現を通して、「いま・ここ」に存在する私たちの姿を多角的に捉えていきます。こうした多様な身体に向き合うことで、世界で起きている出来事への解像度が一気に増し、これまで気づかなかった角度から新たな風景が立ち現れてくるかもしれません。観劇後には、観客一人ひとりの身体感覚や眼差しに変化が生まれるような知覚と認識に揺さぶりを与えるプログラムを目指しました。
今回ご紹介する作品群は、「灰と薔薇のあいまに」というフール・アル・カシミ監督のテーマを掘り下げ、以下の三つの問いを軸に構成しています。
一:自然と人間の関係
人間が自然を支配するのではなく、身体と環境との共生をいかに再構築できるのか。現代において、それぞれの土地に根ざした動植物とのつながり、生活文化や共同体のあり方をいかに掘り起こすことができるのか。
二:戦争と記憶
歴史や記憶の中にある戦争と、現在進行中の戦争のあいだには、どのような連続性があり、どこに断絶があるのか。街や暮らしを荒廃させ、計り知れない傷を残す戦争について、私たちは忘却や無関心に抗い、それぞれの立場から向き合うことができるのか。
三:支配と不均衡
資源や領土をめぐる世界的な権力構造、そこに根づく搾取や収奪、差別の問題。植民地支配や帝国主義の歴史を背景に、ポストコロニアルな現在を生きる私たちは、どのようにその「力の勾配」を見つめ直し、新たな関係性を築くことができるのか。
このような観点から、暴力や収奪ではなく人間性の回復、既存の価値観では見えてなかったような物語や身体性を感じられる作品や体験を意識してプログラムしました。
オセアニア、アラブ、アジア、アフリカから9作品を紹介します。そして、本芸術祭では、「誰もがアクセスできる環境」を目指し、アクセシビリティにも力を入れています。多様な身体、多様な視点が交差するこの空間で、あなた自身の感覚と世界が響きあう瞬間を、ぜひ体験してください。
国際芸術祭「あいち2025」パフォーミングアーツキュレーター 中村茜
国際芸術祭あいち2025 開催概要
テーマ|灰と薔薇のあいまに A Time Between Ashes and Roses
会期|2025年9月13日(土)〜11月30日(日)[79日間]
会場|愛知芸術文化センター、愛知県陶磁美術館、瀬戸市のまちなか
芸術監督|Hoor Al Qasimi(フール・アル・カシミ)
(シャルジャ美術財団理事長兼ディレクター、国際ビエンナーレ協会(IBA)会長)
主催|国際芸術祭「あいち」組織委員会
(会長 大林剛郎(株式会社大林組取締役会長 兼 取締役会議長))
公式ウェブサイト|https://aichitriennale.jp/
問合わせ先|国際芸術祭「あいち」組織委員会事務局
(愛知県県民文化局文化部文化芸術課国際芸術祭推進室内)
https://aichitriennale.jp/contact/index.html