チェルフィッチュ『三月の5日間』

料金
レンタル(7日間):1,300円
購入:2,200円

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作品紹介

2003年、アメリカ軍がイラク空爆を開始した3月21日(アメリカでは20日)。この日を間に挟んだ5日間における、数組の若者たちの行動を語る戯曲。語るとは、文字通り「語る」であって、俳優たちが役を「演じる」のではないところにこの作品の最大の特徴と魅力がある。
六本木のライブで知り合い、そのまま渋谷のラブホテルに5日間居続けになり、たまに外へ食事に出ては、不思議と渋谷にいつもとは違う新鮮な感覚を覚えるミノベとユッキー。ミノベの友人で、少しばかり電波系の少女ミッフィーと映画館で出会うアズマ。渋谷の町を行進する反戦デモに「ゆるい」感じで参加するヤスイとイシハラ。
舞台に登場する男優1男優2と名づけられた7人の俳優たちのセリフは、たとえば次のようなものだ。「それじゃ『三月の5日間』ってのをはじめようって思うんですけど、第一日目は、まずこれは去年の三月っていう設定でこれからやってこうって思ってるんですけど、朝起きたら、なんか、ミノベって男の話なんですけど、ホテルだったんですよ朝起きたら、なんでホテルにいるんだ俺とか思って、しかも隣にいる女が誰だよこいつしらねえっていうのがいて、なんか寝てるよとか思って、っていう、」このようにして俳優たちは、行動の当事者となって物語を展開するのではなく、入れ替わり立ち替わりながら、彼らから聞いた話を観客に説明するというスタイルで、代話していく。
事件らしい事件の起こらないこの作品で試みられているのは、「現実的な表現」への真摯な模索である。まず、いかにもそれらしく「役を演じる」ことの演劇的な欺瞞を排除し、次に、いかにもセリフらしいセリフの嘘くささを取り去ってみている。
いま現在における、最も誠実な表現の姿勢を突き詰めたはてに現れたこの作品では、「戦争」という巨大な出来事と、ほとんど些末ともいえるリアルな日常を巧妙に対比させ、日本の若者たちの抱く、とらえどこのない現実感を見事に構造化している。

[初演年]2004年
[上演時間]約90分
[収録]2006年3月14日@Super Deluxe(六本木)

公式サイト:https://chelfitsch.net/works/five-days-in-march/

クレジット

収録公演
作・演出:岡田利規
出演:山崎ルキノ、山縣太一、下西啓正、松村翔子、瀧川英次、東宮南北、村上総一

企画:小沢康夫
舞台監督:鈴木康郎
照明:大平智己
音響:牛川紀政
宣伝美術:good design company
ウェブデザイン:谷上周史
記録写真:横田徹
映像記録協力:須藤崇規、中泉さとこ
制作:中村茜
制作協力:プリコグ
会場協力:Super Deluxe
協力:STスポット
主催:チェルフィッチュ
共催:Postmainstream Performing Arts Festival
助成:財団法人東京都歴史文化財団

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