チェルフィッチュ 海外ツアー2024(『宇宙船イン・ビトゥイーン号の窓』『ニュー・イリュージョン』)
- CATEGORY
- イベント形態|パフォーマンス
- precogの業務|イベント制作, 国際事業
- 表現分野|演劇
- 開催年|2024
- SHOP
- オンデマンド
プロジェクト概要
2024年、チェルフィッチュはアジア・欧州5都市で2作品を上演するツアーを実施しました。
春のツアーではベルギー・ブリュッセルのクンステン・フェスティバル・デザールと韓国・ソウルの国立現代美術館ソウル館で『宇宙船イン・ビトゥイーン号の窓』を、秋のツアーではドイツ・ドレスデンのヘレラウとフランス・トゥールーズのガロンヌ劇場で『ニュー・イリュージョン』を、また、フランス・パリのフェスティバル・ドートンヌで『宇宙船イン・ビトゥイーン号の窓』を上演しました。
公演制作、海外ツアー
◼︎プロジェクト期間
2023年8月〜2024年11月
◼︎プロジェクト体制
『宇宙船イン・ビトゥイーン号の窓』
製作:一般社団法人チェルフィッチュ
共同製作:KYOTO EXPERIMENT
企画制作:株式会社precog
『ニュー・イリュージョン』
委嘱:Ob/Scene Festival
製作:一般社団法人チェルフィッチュ
企画制作:株式会社precog
協力:公益財団法人セゾン文化財団、空 、オフィススリーアイズ
本作は、2022 ACC (Asia Culture Center) International Co-production Performing Arts Development Program によって制作されました。
◼︎関連リンク
『宇宙船イン・ビトゥイーン号の窓』2024春 海外ツアー
https://chelfitsch.net/activity/2024/03/in-between.html
『ニュー・イリュージョン』/『宇宙船イン・ビトゥイーン号の窓』2024秋 欧州ツアー
https://chelfitsch.net/activity/2024/10/autumn24.html
作品概要
◾️『宇宙船イン・ビトゥイーン号の窓』
チェルフィッチュは2021年から、ワークショップやトークイベントを通じ、それらの参加者とともに日本語が母語ではない方々との演劇について考え、実践し、演劇における日本語の可能性をひらいていく「ノン・ネイティブ日本語話者との演劇プロジェクト」を展開してきました。プロジェクトの一つの成果として上演したチェルフィッチュ『宇宙船イン・ビトゥイーン号の窓』には、ワークショップ参加者からオーディションを経て選ばれた4人のノン・ネイティブ日本語話者が2人のネイティブ日本語話者とともに出演しています。
とある言語の衰退を食い止めるべく、宇宙船イン・ビトゥイーン号に乗り込んだ四人の乗組員と、一体のアンドロイド、そして銀河の旅の途中で遭遇する地球外知的生命体。
宇宙を漂いながら、やがて言葉をめぐる対話が繰り広げられます。劇中で語られる、変化しゆく「わたしたちの言葉」とは、いったい誰のものなのか。舞台上で発されるせりふが、その発音や文法の「正しさ」とは関係なく観客に届くということ。パフォーマンスが引き起こす想像を拠り所に、「正しさ」から解放された言葉が作用し、演劇の本質があらわになっていきます。
【ブリュッセル公演】Kunstenfestivaldesarts
日程:2024年5月18日(土)〜5月20日(月)
会場:KVS BOL
【ソウル公演】
日程:2024年5月25日(土)
会場:国立現代美術館ソウル館 地下1階マルチプロジェクトホール
【パリ公演】Festival d’Automne 2024
日程:2024年10月26日(土)〜10月30日(火)
会場:パリ日本文化会館
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◾️『ニュー・イリュージョン』
スクリーンなどに投影された等身大の役者の映像と観客の想像力によって「演劇」を立ち上げる〈映像演劇〉シリーズは2018年にスタートし、美術館や展示スペースで上演/展示をしてきました。劇場の機構を利用して上演/展示した2022年初演の『階層』に続き、本作では〈映像演劇〉として初めて、舞台と客席という通常の演劇の形式を踏襲した劇場空間での「上演」に挑戦しています。
舞台の上に立つ一対のスクリーンに映し出された男女は、昨日までその劇場で上演されていたという、かつて二人が暮らした部屋を舞台にした演劇について語り出します。そこで語られているのは演劇=虚構の話か、それとも二人の生活=現実の話か。スクリーンに映し出される虚構の空間と劇場という現実の空間もまた互いを侵食し、ふとした瞬間、そこにはいないはずの俳優の気配が——。観客は、舞台の上に現実と虚構、現在と過去、存在と不在が折り重なり、騙し絵のように様相を変えていく様を感じることになるでしょう。
【ドレスデン公演】HYBRID Biennale
日程:2024年10月18日(金)、19日(土)
会場:HELLERAU
【トゥールーズ公演】
日程:2024年11月6日(水)〜11月8日(金)
会場:théâtre Garonne
プロセス
■公演企画の立案・調整とツアーコーディネート
近年、コロナ禍や世界情勢の変化を経て、舞台芸術界を取り巻く環境も大きく変わりつつあります。国際的なフェスティバルにおいてもディレクターの世代交代が相次ぐなか、チェルフィッチュが2024年に実施した海外ツアーは、これまでの活動で築いてきたネットワークを活かし、また改めてつなぎつつ、新たなつながりを構築するものになりました。
春のツアーで『宇宙船イン・ビトゥイーン号の窓』を上演したクンステン・フェスティバル・デザールでは2007年以来、チェルフィッチュの作品をたびたび上演してきましたが、今回は2018年に現在のDaniel Blanga GubbayとDries Douibiの共同ディレクター体制になって以来、初めての招聘となりました。
同じく春のツアーで『宇宙船イン・ビトゥイーン号の窓』を上演した韓国・ソウルの国立現代美術館ソウル館については、2022年の『ニュー・イリュージョン』韓国ツアーの際の会話をきっかけにチェルフィッチュ作品の招聘企画が立ち上がり、今回それがこの作品で実現することになりました。
秋のツアーでは、フェスティバル・ドートンヌ・パリで2022年にフランチェスカ・コロナがディレクターになってから初めてのチェルフィッチュ作品として『宇宙船イン・ビトゥイーン号の窓』の上演が決定。春のツアー先として決まっていたクンステン・フェスティバル・デザールと舞台美術や字幕を共有するなど協力関係を結ぶことで春・秋に分かれてのツアーが実現しました。
さらに、秋のツアーではドイツ・ドレスデンのヘレラウとフランス・トゥールーズのガロンヌ劇場で『ニュー・イリュージョン』の上演も決定。欧州で初めての〈映像演劇〉の上演が実現しました。ガロンヌ劇場はこれまでにも複数のチェルフィッチュ作品を上演し、継続的に協働を行なってきた劇場です。一方、ヘレラウでのチェルフィッチュ作品の上演は初めてのことでしたが、こちらはHAUやKaserne Baselでキャリアを積んできた芸術監督のCarena Schlewittとチェルフィッチュとの長年の協働によって実現したものです。
precogでは、作品の構想段階からフェスティバルや劇場とコンセプトを共有することで、早い段階から協働先の候補を獲得し企画の調整を進めています。合わせて、レパートリーとして上演可能な作品や他のツアー先の情報なども協働先に共有することで、個々の公演企画だけでなく、ツアーとしての実現可能性も探っています。2024年は結果として2作品・5都市の海外ツアーを実現することができました。
■公演地ごとの調整
今回上演した『宇宙船イン・ビトゥイーン号の窓』については、日本語と日本の状況に固有の文脈を背景とする作品だったこともあり、どの程度の背景情報を共有するべきかなどについて、現地スタッフや有識者に相談しつつ検討を重ねました。パリでの上演の際には、ブリュッセルの観客の反応を踏まえ、ブリュッセルで使用したフランス語字幕のブラッシュアップも行いました。
また、『ニュー・イリュージョン』のトゥールーズ公演では、劇場側に依頼して現地でのレビューを獲得するなど、公演地の文脈と作品を接続するためのコーディネートも行いました。
成果
■チェルフィッチュをめぐる国際的ネットワークの活性化
今回のツアーでは、これまでに継続的に関係を築いてきたフェスティバルやディレクターとの協働の継続に加え、新たなフェスティバルへの参加や新しく着任したディレクターとの関係の構築など、コロナ禍以降の舞台芸術の国際的なシーンにおけるネットワークを、様々なかたちで改めて活性化することができました。新作とレパートリー作品を組み合わせることで、個々のフェスティバルや劇場の事情や要望、その変化に対応したコーディネートを実現することができたのも大きな成果です。ツアーの実施と合わせて現在進行中のプロジェクトの情報やコンセプトなども合わせて共有することで、今後の協働に向けた可能性を育むこともできました。
■新たな公演機会の獲得
国立現代美術館ソウル館での『宇宙船イン・ビトゥイーン号の窓』の上演は好評を博し、2025年の『消しゴム山』ソウル公演の実現につながりました。2022年の『ニュー・イリュージョン』ソウル公演が今回の『宇宙船イン・ビトゥイーン号の窓』の上演につながり、それがさらに新たな公演機会につながるというかたちで、その都度の作品の上演が次の公演機会や関係構築・現地の観客創出につながる好循環が生まれています。
■長期間の海外ツアーのコーディネート
2作品で5都市をめぐる長期間のツアーを実施する一方、その前後の期間では日本国内で『消しゴム山』と『リビングルームのメタモルフォーシス』という二つの異なる作品の上演も行なっています。国内外で複数のプロジェクトを同時進行でコーディネートできたことは今回のプロジェクトの大きな成果です。また、長期間の海外ツアーにおいて、舞台美術の管理・輸送や複数の異なる国籍を持つプロダクションチームのビザなどの申請、フランスの社会保障制度への対応など、公演にまつわる膨大な事務手続きを遂行できることはprecogの大きな強みです。
ギャラリー
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『宇宙船イン・ビトゥイーン号の窓』ソウル公演 "The Window of Spaceship 'In-Between' " in Seoul ©︎Seunghyuk Park /the National Museum of Modern and Contemporary Art Seoul -
『宇宙船イン・ビトゥイーン号の窓』ソウル公演 "The Window of Spaceship 'In-Between' " in Seoul ©︎Seunghyuk Park /the National Museum of Modern and Contemporary Art Seoul -
『宇宙船イン・ビトゥイーン号の窓』ソウル公演 "The Window of Spaceship 'In-Between' " in Seoul ©︎Seunghyuk Park /the National Museum of Modern and Contemporary Art Seoul -
『宇宙船イン・ビトゥイーン号の窓』ソウル公演 "The Window of Spaceship 'In-Between' " in Seoul ©︎Seunghyuk Park /the National Museum of Modern and Contemporary Art Seoul -
『ニュー・イリュージョン』トゥールーズ公演 “NEW ILLUSION” in Toulouse -
『ニュー・イリュージョン』トゥールーズ公演(アフタートーク)“NEW ILLUSION” in Toulouse (After talk)
メディア掲載情報
- 2024年5月20日:Toshiki Okada : une exploration spatiale et linguistique au Kunstenfestivaldesarts| RTBF Actus
- 2024年5月21日:Toshiki Okada/chelfitsh – The Window of Spaceship In-Between (Kunstenfestivaldesarts) | Etcete
- 2024年5月26日:Is politiek aliens vreemd? The window of spaceship 'In-between'|pzazz
- 2024年5月27日:Wurmen voor meer ruimte The Window of Spaceship 'In-between'|pzazz
- 2024年10月29日:Toshiki Okada : le théâtre comme potentiel|Pleins Feux
- 2024年10月30日:Le huis clos de l’espace de Toshiki Okada au Festival d’Automne|cult.news
- 2024年11月7日:« NEW ILLUSION » de Toshiki Okada, où s’arrête le théâtre ?|snobinart
関連アーティスト
関連プロジェクト
関連@オンライン
クレジット
『宇宙船イン・ビトゥイーン号の窓』
作・演出:岡田利規
出演:安藤真理、徐秋成、ティナ・ロズネル、ネス・ロケ、ロバート・ツェツシェ、米川幸リオン
舞台美術:佐々木文美
音響:中原楽
サウンドデザイナー:佐藤公俊
照明:吉本有輝子
衣裳:藤谷香子
技術監督:守山真利恵
舞台監督:川上大二郎(スケラボ)
演出助手:山本ジャスティン伊等(Dr. Holiday Laboratory)
英語翻訳:オガワアヤ
プロデューサー:黄木多美子(precog)、水野恵美(precog)
プロジェクトマネージャー:遠藤七海
〈ブリュッセル・ソウル公演〉
ブリュッセル公演 字幕:Babel Subtitling
韓国語字幕:Choi Youngwon
プロジェクトマネージャー:陳逸君 (precog)
助成:独立行政法人国際交流基金
〈パリ公演〉
フランス語字幕:Babel Subtitling、副島綾
プロダクションマネージャー:武田侑子
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(舞台芸術等総合支援事業(国際芸術交流))|独立行政法人日本芸術文化振興会、アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団)
製作:一般社団法人チェルフィッチュ
共同製作:KYOTO EXPERIMENT
企画制作:株式会社precog
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『ニュー・イリュージョン』
作・演出 岡田利規
映像 山田晋平
出演 足立智充、椎橋綾那、 Jeong Jung-yeop
音楽 Jang Young-gyu
録音・音響 中原楽
照明 髙田政義(RYU)
衣裳 藤谷香子(FAIFAI)
技術監督 守山真利恵
英語字幕 アヤ・オガワ
プロデューサー 水野恵美(precog)
プロダクションマネージャー 遠藤七海
2022年 クリエーション:[照明] 葭田野浩介(RYU)、[録音] 佐藤佑樹、株式会社 大城音響事務所、[映像アシスタント] 齊藤詩織(青空)、樋口勇輝(青空)、[舞台監督] 川上大二郎、[通訳] イ・ナウォン、[アシスタントプロダクションマネージャー] 村上瑛真(precog)、[制作デスク] 斉藤友理、平岡久美(precog)
〈2024年秋 欧州ツアー〉
照明オペレーター 長坂有紗(RYU)
プロダクションマネージャー 武田侑子
映像オペレーター(トゥールーズ公演) 樋口勇輝(青空)
ドイツ語字幕 アンドレアス・レーゲルスベルガー
フランス語字幕 スロコンブ・都
助成 文化庁文化芸術振興費補助金、独立行政法人日本芸術文化振興会、JLOX+
委嘱 Ob/Scene Festival
製作 一般社団法人チェルフィッチュ
企画制作 株式会社precog
協力 公益財団法人セゾン文化財団、空 、オフィススリーアイズ
本作は「2022 ACC (Asia Culture Center) International Co-production Performing Arts Development Program」によって制作されました。