令和4年度文化庁委託事業の教材開発・広報・研修会の実施

フリーランスアーティスト・スタッフのための契約レッスン

  • CATEGORY
  • イベント形態|オンライン配信, トーク・シンポジウム, ワークショップ, 参加型
  • precogの業務|イベント制作, バリアフリー, 教育普及, 人材育成, 広報PR
  • 表現分野|ダンス, 映像, 演劇, 美術, 音楽
  • 開催年|2023

プロジェクト概要

文化芸術の担い手は小規模な団体やフリーランス等が多く、不利な条件の下で業務に従事せざるを得ない状況等も生じているという社会的背景を受け、文化庁は2022年(令和4年)7月に契約書のひな型や解説等を含んだ「文化芸術分野の適正な契約関係構築に向けたガイドライン(検討のまとめ)」を公表。さらに、このガイドラインの実効性確保のため、令和4年度文化庁委託事業として「芸術家等実務研修会」を実施しました。
「芸術家等実務研修会」は芸術文化に関わる5つの団体が受託し、株式会社precogでは「フリーランスのアーティスト及びスタッフ向け」の実務研修会を担当。教材開発から事業を広く周知するための広報、研修会の実施、アーカイブ動画の公開までを担いました。

■precogの業務
イベント制作、バリアフリー動画配信、鑑賞サポート、ワークショップ・セミナー、人材育成、コミュニケーションデザイン・広報PR
■プロジェクト期間

2022年11月〜2023年3月
■プロジェクト体制

主催:文化庁(令和4年度芸術家等実務研修会の実施事業)
事務局・企画・運営:株式会社precog
■関連リンク

公式ページ:https://theatreforall.net/contractlesson2023/
文化庁 芸術家等実務研修会の実施について:
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunka_gyosei/kibankyoka/kenshukai/index.html

活動概要

「芸術家等実務研修会」の実施にあたり、株式会社precogでは、法律、各芸術分野の専門家の意見を踏まえながら、フリーランスのアーテイストやスタッフが実際に契約をする際に押さえておきたい重要なポイントをわかりやすくまとめた『フリーランスアーティスト・スタッフのための契約ガイドブック』を制作・配布、及びPDF版を公開。2023年2月には同ガイドブックを教材に用い、音楽・舞台美術・映像・美術などさまざまな芸術分野で、フリーランスのアーティスト、スタッフとして活動する方に向け、楽しく契約について学べる「フリーランスアーティスト・スタッフのための契約レッスン」を開催しました(全7回)。
教材として作成したガイドブックや契約書のひな型、オンラインで視聴できる研修会の動画(手話・バリアフリー日本語字幕付き)は、本事業特設サイトもしくは文化庁のホームページからアクセスすることができます。

令和4年度文化庁委託事業「芸術家等実務研修会」
フリーランスアーティスト・スタッフのための契約レッスン

講師:シティライツ法律事務所 弁護士 荻布純也 、 弁護士 林かすみ
参加費:無料 (ガイドブック付き)
定員:各回30名

日程:2023年2月11日(土) 13:00-16:00
会場:東京都現代美術館 B2研修室1
対象:美術領域の作家、アートマネージャー 等
ゲスト:小田原のどか (彫刻家、評論家)

日程:2023年2月13日(月) 18:00-21:00
会場:晴れたら空に豆まいて
対象:音楽家、サウンドクリエイター 等
ゲスト:TSUTCHIE (Shakkazombie)

日程:2023年2月14日(火) 18:00-21:00
会場:東京芸術劇場 シンフォニースペース
対象:舞台芸術関係者 (俳優、ダンサー、制作者 等)
ゲスト:植松侑子(NPO法人Explat理事長、合同会社syuz’gen代表社員)

日程:2023年2月18日(土) 13:00-16:00
会場:LUMINE 0
対象:障害当事者やその他様々な立場のフリーランスアーティスト・スタッフ
情報保障:手話通訳・UDトーク・視覚障がい者向けサポート
ゲスト:牧原依里 (映画作家)

日程:2023年2月23日(木・祝) 13:00-16:00
会場:3331 Arts Chiyoda コミュニティースペース
対象:劇団、アートプロジェクト関係者、芸術分野の団体やNPOの従事者(フリーランスアーティスト・スタッフへの発注を行う方)
ゲスト:小川智紀 (NPO法人STスポット横浜 理事長)、若林朋子 (プロジェクト・コーディネーター、立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科特任教授)

日程:2023年2月26日(日) 13:00-15:30
会場:オンライン (ZOOM)
対象:全国のフリーランス アーティスト・スタッフ

日程:2023年2月27日(月) 18:30-21:30
会場:LOFT9 Shibuya
対象:映像領域の作家、スタッフ
ゲスト:深田晃司(映画監督)

プロセス

■文化庁委託事業の受託

2022年7月、文化庁は「文化芸術分野の適正な契約関係構築に向けたガイドライン(検討のまとめ)」を発表しました。8月にはその実効性を確保するための文化庁委託事業として「芸術家等実務研修会」の実施を発表。株式会社precogはその受託者の公募に応じるかたちで企画を立案・提出し、他の4団体とともに受託者として選出され、美術・音楽・舞台・映画に関わるフリーランスのアーティスト・スタッフを対象とする研修会を担当することになりました。
株式会社precogではこれまでも、舞台芸術を中心とした様々なプロジェクトを展開し、アーティストやスタッフなど多くの関係者と協働するなかで、契約面に関して多岐にわたる課題に直面し、そのたびに改善策を模索してきました。今回の「芸術家等実務研修会」を受託したのも、契約を個々のアーティストやスタッフ、あるいはプロジェクトの課題としてだけではなく、文化芸術業界全体の課題として捉え、改善していく必要があるという問題意識に基づいてのことです。

■ガイドブックの編集

ガイドブックの作成にあたっては、契約について十分な知識を持たない方でも理解しやすいものを目指して編集・執筆を進め、誌面にはイラストや事例集、学んだ内容を確認するためのチェックポイントなどを盛り込むなど、理解を促進するための工夫をこらしました。
また、有識者ヒアリングを重ね、現場でどのようなニーズや課題、トラブル事例があるか、どのような内容が含まれているとよいかを検討し、ガイドブックの構成・内容に反映しました。
一方、法律にも関わる契約というものを扱う以上、記述の正確さも重要であることは言うまでもありません。今回は企画段階からシティライツ法律事務所に法務ディレクション・監修としてご参加いただき、法律面での正確さを踏まえつつもわかりやすいガイドブックを目指して編集を進めました。
完成したガイドブックは冊子版とともにPDF版を配布し、より多くの方がいつでも必要な情報にアクセスできる環境を実現しました。


▶︎フリーランスアーティスト・スタッフのための契約ガイドブック」(PDF)

■広報

ガイドブックの配布と研修会の実施にあたっては、研修会が対象とする各業界への広報に加え、研修会のゲストによる対談記事を音楽ナタリーに出稿し、あるいはTHEATRE forALLで特集記事を発信するなど、契約に関する興味・関心を広く喚起するような広報を実施しました。

【フリーランスアーティスト・スタッフのための契約レッスン】 [特別対談] 小田原のどか×木下知威 契約ってなぜ必要?|THEATRE for ALL
2023年3月30日:フリーランスアーティストが知っておくべき“契約”のこと|音楽ナタリー

■研修会の実施

研修会の実施にあたっては、美術館やライブハウスなど各分野に関わる方に馴染み深い場所を会場とし、また、各分野の第一線で活躍する方々にゲストとして登壇していただくなど、申し込みやすい、参加したいと思えるイベントとなるよう全体をデザインしました。
研修会では講義に加えてクイズ形式のワークショップも行なうなど、株式会社precogがこれまで手がけてきたラーニング事業やワークショップの知見を活かし、受講者が自分ごととして課題意識を持って学べる場を実現しました。
情報保障付きの実施回では株式会社precogがこれまでに手がけてきたTHEATRE for ALLなどでのノウハウの蓄積を活かし、障害当事者だけでなく様々な方がともにワークショップに取り組み、活発に議論を交わしました。

■講義映像の配信

研修会実施後には、契約において主に「受注者」となる方向けのものと「発注者」となる方向けの2種類の講義映像を配信しました。これは研修会の講義部分を撮影・編集したうえで手話とバリアフリー日本語字幕を付けたもので、今回の研修会の内容を配信を通じてより多くの方にお届けすることを目指しました。
講義映像の公開にあたっては同時視聴イベントを実施し、合わせて冊子版ガイドブックの配布申し込みを受け付けるなど、業界全体に広く興味・関心を喚起するための施策を行ないました。

◉講義アーカイブ(契約において主に「受注者」となる方向け)

◉講義アーカイブ(契約において主に「受注者」となる方向け)

■契約書ひな形の配布

講義映像の配信、ガイドブックの配布に加え、契約書を作成する際に参考にできるひな形も作成・配布しました。こちらも「文化芸術分野における適正な契約関係構築に向けたガイドライン」をベースに法律の専門家による監修のもと作成したものです。

▶︎成果物制作に関する契約書のひな型(Word形式)
▶︎実演家の出演に関する契約書のひな型(Word形式)

成果

■契約の基礎を知ることができるガイドブックの発行

今回発行したガイドブックは、研修会でのテキストとして利用するのみならず、研修会を受講できなかったフリーランスのアーティストやスタッフ個々人も利用することができるものです。契約の基礎を理解するためのわかりやすいガイドブックにいつでもアクセスできるようになったことは、文化芸術業界の契約をめぐる状況の改善に資する重要な一歩です。

■情報保障付きの研修会と配信の実施

分野別の研修会に加えて、情報保障付きの回を実施し、手話とバリアフリー日本語字幕を付けた講義動画を配信できたことも大きな成果です。こちらの映像作成・配信にあたっても株式会社precogがTHEATRE for ALLなどを通じて育んできた情報保障サポートのノウハウが活かされました。

■幅広い層への情報のリーチ

契約というと難しいものという印象がありますが、今回の研修会ではオリジナルキャラクターやイラストを交えたキャッチーなビジュアルを用い、参加しやすい講座であることが直感的に感じられるような広報を実現しました。
また、契約をめぐる課題は昨今の文化芸術業界において広く共有されはじめているところですが、今回の研修会では各分野の第一線で活躍する方々をゲストに迎えることで、株式会社precogの強みである舞台芸術分野のみならず、他分野でも広い関心を集めることに成功しました。

■業界全体での契約への意識と理解の向上

今回の研修会は、業界全体での契約への意識と理解の向上を目指したものです。研修会の受講者がそれぞれに自分ごととして契約について考えることはもちろん、ワークショップを通じた他の受講者との交流の機会を創出することで、契約を自分一人の問題としてではなく、業界に関わる複数の立場の視点から考えることを促しました。
また、研修会の受講者以外にも問題意識を共有していくため、講義動画の配信とガイドブックや契約書のひな形の配布も行なっています。株式会社precogでは今後も業界全体の環境改善に資する事業に取り組みます。

ガイドブック

フリーランスアーティスト・スタッフのための契約ガイドブック」(PDF)

ギャラリー

広報制作物

メディア掲載情報

プレスリリース

関連@オンライン

クレジット

主催:文化庁(令和4年度芸術家等実務研修会の実施事業)
事務局・企画・運営:株式会社precog

法務ディレクション/監修:水野祐、荻布純也、林かすみ(弁護士/シティライツ法律事務所)

アートディレクション・デザイン:加藤賢策、鎌田紗栄、和田真季(株式会社LABORATORIES)
イラスト:コグレチエコ
編集ディレクション/執筆:本間裕子
執筆:篠田栞
映像撮影/編集:株式会社SETENV
映像配信:THEATRE for ALL
手話通訳/日本語バリアフリー字幕制作:特定非営利活動法人シアター・アクセシビリティ・ネットワーク(TA-net)
映像手話出演:那須映里
調査協力:熊谷薫、石幡愛(合同会社ARTLOGY)

事務局:株式会社precog
統括プロデューサー:中村茜
プロジェクトマネージャー:斉藤友理
編集ディレクション/執筆・プロジェクトマネージャー:星茉里
シニア・プロデューサー:黄木多美子
プロジェクトオフィサー:平岡久美
プロジェクトアシスタント:谷津有佳、河野真紀、岩井美菜子、斉藤浩子、西多恵子
広報アシスタント:田井中未来、清水恩
WEBコンテンツ企画:大久保玲子、今井浩一

協力:
森真理子(厚生労働省 障害者文化芸術計画推進官)
端田新菜(俳優/ままごと)
藤田充彦(リトルモア)
伊達真人(リトルモア)
林建太(「視覚障害者とつくる美術鑑賞ワークショップ」代表)