EPAD × THEATRE for ALL 2024
- CATEGORY
- イベント形態|オンライン配信
- precogの業務|配信事業, バリアフリー
- 表現分野|ダンス, 映像, 演劇
- 開催年|2025, 2024
プロジェクト概要
2020年度から舞台芸術の公演映像、戯曲、舞台美術資料などを収集しデジタル・データとしてアーカイブ化してきたEPAD(舞台芸術アーカイブ+デジタルシアター化支援事業)。株式会社precogが運営するバリアフリー型の動画配信サービス「THEATRE for ALL」では、2022年度からEPADと協働し、舞台芸術作品のバリアフリー版映像の制作コーディネートや配信を行なっています。2024年度は新たに、6作品の音声ガイド・バリアフリー字幕(うち3作品は手話つき)の映像配信に取り組みました。
EPADとTHEATRE for ALLはどちらも、新型コロナウイルス感染症の感染が拡大し、演劇やダンスの公演、音楽のライブが次々と中止を余儀なくされ、いつ活動が再開できるかもわからなかった時期に立ち上がったプロジェクトです。これまで舞台芸術にアクセスすることが難しかった方々にどうすればその魅力を届けることができるのか。precogではより多くの方に舞台作品映像を届けるために、EPADのアーカイブ事業と連携し、バリアフリーなオンライン劇場であるTHEATRE for ALLの配信サービス事業のノウハウを生かした取り組みを行っています。
バリアフリー動画配信、コミュニケーションデザイン・広報PR
◾️プロジェクト期間
2024年4月〜2025年3月
◾️プロジェクト体制
主催:一般社団法人EPAD
制作:THEATRE for ALL(株式会社precog)
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(舞台芸術等総合支援事業(全国キャラバン))|独立行政法人日本芸術文化振興会
◾️関連リンク
https://theatreforall.net/projects/epad2024/
作品概要
2024年度はEPADが権利処理サポートを行った作品群から様々なジャンルの6作品を選定。precogはバリアフリー企画を担当するとともに、情報保障制作のパートナーと連携しながら、音声ガイドやバリアフリー字幕、手話によるバリアフリー版の映像制作のコーディネートを担当しました。バリアフリー版の映像はTHEATRE for ALLで配信しています(2025年8月時点)。配信作品のタイトルと情報保障は以下の通りです。
■ミュージカル『刀剣乱舞』髭切膝丸 双騎出陣 2020 ~SOGA~
音声ガイド、手話、バリアフリー字幕

■舞台『未来少年コナン』 (配信終了)
音声ガイド、手話、バリアフリー字幕

■範宙遊泳『バナナの花は食べられる』
音声ガイド、手話、バリアフリー字幕

■維新派『MAREBITO』
音声ガイド、バリアフリー字幕

■ナイロン100℃ 45thSESSION『百年の秘密』
音声ガイド、バリアフリー字幕

■こまつ座第140回公演『雪やこんこん』
音声ガイド、バリアフリー字幕

また、EPADの作品収集にあたってはユニバーサルな舞台映像作品の収集のサポートも行ない、28本の収蔵が実現しています。
プロセス
◾️舞台芸術のバリアフリー版の継続的な発展のために
近年、舞台芸術界において、鑑賞における情報保障やバリアフリーの必要性は少しずつ認識されるようになってきました。しかし、特に新作や初演公演では制作スケジュールや予算の問題で十分な情報保障をつけることが難しいこともあり、まだまだ十分な施策が実施されているとは言えない状況です。precogでは、観劇にバリアを感じている方が触れることのできる舞台芸術の選択肢の幅を広げるとともに、観る人を限定しないアクセシビリティ対応した映像の制作とその配信も併せて推進しています。その一環として、2022年度よりスタートしたEPADとTHEATRE for ALLとの協働を継続し、2024年度も新たな舞台作品映像のバリアフリー版の制作と配信を実施することになりました。
◾️EPAD事務局との連携強化
2024年度の事業ではprecogのスタッフがEPAD事務局の一員としてユニバーサル事業のプロジェクトを担うことで、さらなる連携強化を目指しました。事務局内部のメンバーとして議論に参加し、あるいは収集・権利処理や舞台映像活用等の他チームとも情報共有を行なうことで、よりスムーズな進行管理が実現しました。
◾️現場・利用者の声の収集と方針策定
2024年度の作品選定にあたっては、作品選定やアーカイブの活用をめぐる方針について劇場・舞台関係者、障害当事者、教育関係者等にヒアリングを実施し、作品選定方針の策定を行ないました。また、配信を開始してからは、障害当事者や支援者を対象とした無料視聴キャンペーンを実施。EPAD× THEATRE for ALLの取組を広く周知するとともに、感想やフィードバックの収集に努めました。
◾️作品選定と作品ごとの特徴に応じたバリアフリー制作コーディネート
2024年度の事業では6本の作品を選定し、precogは内3作品の手話、バリアフリー字幕、音声ガイドを情報保障制作のパートナーと連携し制作しました(残りの3作品はNPOメディア・アクセス・サポートセンターが制作)。作品ごとの特徴に合わせ、制作会社の得意を活かしたチームをコーディネートすることで、作品に寄り添った情報保障が実現しました。また、今年度は新たな取り組みとして舞台『未来少年コナン』の音声ガイドの作成プロセスにおいて舞踊・演劇ライターの高橋彩子さんにご参加いただき、舞台芸術を言語化する専門家の視点も交えて音声ガイドのブラッシュアップを進めました。制作したバリアフリー動画は全てTHEATRE for ALLで配信しています。

<モニター検討会の様子>

<範宙遊泳「バナナの花は食べられる」手話+バリアフリー字幕より(記録映像:たけうちんぐ)>
◾️配信作品と取組の周知
配信作品のみならず制作のプロセスや事業の意義についても広く周知するため、音声ガイドやバリアフリー字幕、手話の制作プロセスや完成版に対するフィードバックなどを紹介する記事を発信しました。また、より広い層に情報を届けるため、SNS広告の出稿も行なっています。加えて、舞台芸術関係者向けのパンフレットも作成。福祉ではなく文化芸術の側からバリアフリーに取り組むことの重要性を紹介することを目的に、ユニバーサルデザインに関心の高いデザイナー・桑田知明氏にご協力いただき、仕掛けのある折り加工を施したパンフレットを作成・配布しました。

<事業や配信作品を紹介するデジタル広告>
成果
◾️丁寧なヒアリングによる作品選定方針の明確化
2022年・2023年度の事業の成果や視聴データを踏まえつつ、2024年度は専門家や障害当事者、関係者へのヒアリングを実施することで、作品選定の方針をブラッシュアップし、より明確化できたことは大きな成果です。
◾️大手プロダクションとの連携・エンタメ作品の情報保障の可能性の可視化
2024年度の事業では「ミュージカル『刀剣乱舞』髭切膝丸 双騎出陣 2020 ~SOGA~」と「舞台『未来少年コナン』」という二つの大規模プロダクションのバリアフリー版映像の制作を実施しました。両作品の配信への反響は大きく、これまでなかなか可視化される機会が少なかったバリアフリー版映像の視聴者の反応を可視化する機会ともなりました。ニーズの大きさも踏まえ、EPAD×THEATRE for ALLでは人気のあるエンターテイメント舞台の情報保障にも継続的に取り組んでいく予定です。
◾️情報保障のプロセスとその意義の発信
2024年度の事業では、情報保障のプロセスやその意義を紹介する記事を3本発信しています。1本目は音声ガイド制作のプロセスを紹介する記事、2本目は俳優と手話監修者が作品の身体性と手話の魅力を紹介する記事、3本目はバリアフリー版の表現手法について、完成版を踏まえながら現時点での達成と課題を振り返る記事となりました。制作のプロセスや事業の意義について広く周知することはバリアフリー動画の普及にとって非常に重要な意味を持つため、今後も映像配信と合わせて継続的に発信していく予定です。
広報制作物
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事業紹介チラシ(デザイン:桑田知明) -
事業紹介チラシ(デザイン:桑田知明)
メディア掲載情報
- 2024年12月24日:舞台『未来少年コナン』バリアフリー配信!身体表現を言葉へ翻訳する、音声ガイド制作のプロセス|THETARE for ALL
- 2025年3月6日:今井朋彦(俳優)× 忍足亜希子(俳優・手話監修)が語る、舞台『未来少年コナン』の身体性や手話の魅力!|THETARE for ALL
- 2025年3月31日:ろう者と考える『バナナの花は食べられる』バリアフリー版の表現手法の可能性|THETARE for ALL
関連プロジェクト
関連スペース
クレジット
主催・製作:一般社団法人EPAD
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(舞台芸術等総合支援事業(全国キャラバン))|独立行政法人日本芸術文化振興会
バリアフリー企画制作:THEATRE for ALL(株式会社precog)
ミュージカル『刀剣乱舞』髭切膝丸 双騎出陣 2020 ~SOGA~
日本語バリアフリー字幕、日本手話:聴覚障害者文化情報センター
手話表現者:江副悟史(株式会社エンタメロード)
日本語音声ガイド:音声ガイドット
舞台『未来少年コナン』
日本語バリアフリー字幕、日本手話:舞台ナビLAMP
日本語バリアフリー字幕提供:公益財団法人東京都歴史文化財団 東京芸術劇場
株式会社イヤホンガイド
手話通訳:加藤裕子、丸山垂穂
手話監修、歌詞手話翻訳:忍足亜希子、三浦剛
範宙遊泳『バナナの花は食べられる』
日本語音声ガイド:合同会社nubo
日本語バリアフリー字幕:株式会社イヤホンガイド、合同会社nubo
日本手話付加制作:今井ミカ(株式会社サンドプラス)
日本手話出演・翻訳:那須映里
手話監修:那須善子
バリアフリー企画:THEATRE for ALL(株式会社precog)
維新派『MAREBITO』
バリアフリー制作:NPOメディア・アクセス・サポートセンター
ナイロン100℃ 45thSESSION『百年の秘密』
バリアフリー制作:NPOメディア・アクセス・サポートセンター
こまつ座第140回公演『雪やこんこん』
バリアフリー制作:NPOメディア・アクセス・サポートセンター