福祉施設での上映ワークショップの企画・運営

『PAPER?/かみ?』上映会&ワークショップ

  • CATEGORY
  • イベント形態|ワークショップ, 参加型
  • precogの業務|イベント制作, バリアフリー, 教育普及
  • 表現分野|映像, 美術
  • 開催年|2022

プロジェクト概要

『PAPER?/かみ?』は、「劇場体験に、アクセシビリティを」をミッションに掲げる「THEATRE for ALL」が2021年から取り組んでいる研究事業、福祉施設に芸術鑑賞と創作を届ける「劇場をつくるラボ」にて開発したオリジナルアニメーションです。「知的・発達障害のある方を鑑賞者として想定した作品とはどういったものであるのか?」という問いのもと、音楽家・蓮沼執太と映像作家・水尻自子が福祉施設でのリサーチをもとに、オリジナルアニメーションを作成、音楽家・梅原徹がワークショップの企画を担当しました。2022年度は福祉施設など合計6ヶ所での上映会やワークショップを実施し、「THEATRE for ALL」での配信も行なっています。

 

◼︎precogの業務
イベント制作、バリアフリーサポート教育普及・人材育成(ワークショップ運営・企画)

◼︎プロジェクト期間
2022年8月〜

◼︎プロジェクト体制
音楽:蓮沼執太
映像:水尻自子
協力:梅原徹、社会福祉法人印旛福祉会 いんば学舎・陣屋

企画・制作:THEATRE for ALL(株式会社precog)
主催:一般社団法人DRIFTERS INTERNATIONAL

◼︎関連リンク
公式サイト:https://theatreforall.net/movie/geki-tsuku-anime/

作品概要

『PAPER?/かみ?』
音楽家・蓮沼執太と映像作家・水尻自子が知的障害のある利用者とのワークショップ体験をもとに、一方的に鑑賞するだけではない映像作品の可能性に挑戦しました。福祉施設での日常に目を向けながら、当事者も介助者も、子どもも大人も、誰もが共に過ごす時間が生まれることを目指し制作したアニメーション作品です。

上映ワークショップ
印旛福祉会いんば学舎・陣屋(千葉)
実施日:2022年10月28日(金)

たんぽぽの家アートセンターHANA(奈良)
実施日:2023年1月7日(土)

ほっちのロッヂお出かけDAY!(長野)
実施日:2023年1月21日(土)

愛成会 メイプルガーデン(東京)
実施日:2023年3月17日(金)

上映会
まるっとみんなで映画祭2022 in NASU(栃木)
実施日:2022年11月5日(土)

NPO法人リベルテ(長野)
実施日:2023年2月25日(土)、26日(日)

プロセス

■知的・発達障害のある方の芸術鑑賞についての課題の発見

『PAPER?/かみ?』の制作は、福祉施設へ芸術鑑賞体験を届けることを目的とした「劇場をつくるラボ」初年度となる2021年度の活動を通して見出された「知的・発達障害のある方を鑑賞者として想定した作品が少ない」という課題からスタートしました。

■福祉施設でのリサーチをもとにしたオリジナルアニメーションの制作

作品制作にあたってはまず、2022年8月に印旛福祉会いんば学舎・陣屋でワークショップを実施。アーティストが福祉施設を訪れ、職員や施設利用者とともにワークショップに取り組み、そこでの体験や発見をもとに、10分間のオリジナルアニメーションを制作しました。作品制作にあたり、アーティストが障害当事者の方々との共創や協働についてより理解を深める機会として、芸術文化と社会福祉の専門家である長津結一郎氏(九州大学大学院芸術工学研究院准教授、同研究院附属社会包摂デザイン・イニシアティブソーシャルアートラボ長)と参加メンバーら全員によるオンラインワークショップも実施しました。

◉ワークショップ


<左:音楽家の蓮沼執太氏(右)と映像作家の水尻自子氏(左)>
<右:音楽家の梅原徹氏(左)>
◉オリジナルアニメーション

■各施設等の特性に合わせた上映会・ワークショップの企画・運営

『PAPER?/かみ?』完成後は、同作を使った上映会・ワークショップを全国6ヶ所の福祉施設などで実施。福祉施設には施設や利用者ごとに特性があるため、完成されたプログラムを巡回するのではなく、会場ごとに施設職員の方と話し合いながら、上映会やワークショップを最適なかたちにカスタマイズしていきました。上映会・ワークショップの終了後にはふり返りの機会を設け、そこでの反省や発見を次の上映会・ワークショップにつなげ、より一層のノウハウを蓄積しています。2023年4月には2022年度の事業全体を振り返る報告会も実施しました。

◉上映ワークショップ
いんば学舎・陣屋(千葉県)

たんぽぽの家アートセンターHANA(奈良県)

ほっちのロッヂ お出かけDAY!(長野県)

劇場をつくるラボ 特別上映会レポート『お出かけDAY!梅原徹さんとあそぶ音とセッションの世界!』 by まるっとみんなで調査団

愛成会 メイプルガーデン(東京都)

◉上映会
まるっとみんなで映画祭2022 in NASU(栃木県)

NPO法人リベルテ(長野県)

■上映会・ワークショップ実施のヒント集としての報告書の作成

2022年度の事業で実施した内容は報告書としてまとめ、公開しています。こちらは各地での上映会・ワークショップの実施事例をまとめた報告書であると同時に、全国の福祉施設がそれぞれに上映会・ワークショップを企画・運営するためのヒント集になることを意図して作成しました。

成果

■知的・発達障害のある方を対象としたオリジナル映像作品の制作

現状、知的・発達障害のある方を鑑賞者として想定した作品は非常に限られた数しか存在していません。その点において、アーティストが福祉施設を訪問し、鑑賞環境や当事者の興味関心、日常生活で目にする風景や音をふまえたうえで制作した『PAPER?/かみ?』は、従来の観客の想定がいかに限定的であったか、という点に対して、問いを投げかける取り組みとなりました。そして、着座で黙って映像を観るという形式だけではなく、映像と共に音を出したり体を動かしたりするなど、鑑賞方法の多様さを受け止められる作品の意義や必要性も見出す結果となりました。また、作品の映像配信をとおして、それぞれの福祉や育児の現場での鑑賞機会の拡大にも寄与しています。
このプロセスはアーティストや制作者にとって、今後必要とされる多様な芸術鑑賞を実現するための作品のあり方について改めて考える学びの場となりました。

■知的・発達障害のある方の利用する福祉施設における上映ワークショップの開発

上映ワークショップについても、会場となる福祉施設の職員の方々と協働し、それぞれにとって最適な内容や運営方法を開発しました。
固定されたプログラムを提供するのではなく、施設職員の方々の日常からの発見や課題感を伺いながら、precogスタッフと共に各施設の特徴や利用者の特性に合わせたワークショップを実施しました。例えば利用者の方々の障害の度合いや種類、施設の日常で楽しんでいる時間や不足している活動などをヒアリングしながら、施設との協働のフレームワークを構築できたことは大きな成果です。
アニメーションの素材には、紙、ティッシュペーパー、コップの水、靴下、おにぎり、など、施設の利用者の方々にとって馴染み深い、日常生活のなかでよく目にするものをモチーフとして登場させて、ワークショップ実施時に「こんな音かな?」と考えるきっかけを作りやすくすることを意識しました。映像をただ座って見るだけではなく、ものを使う、音を出すなどのワークショップの内容は、結果として、子どもを対象としたプログラムにも応用可能なものになりました。
2022年度の上映会・ワークショップの成果は記録集としてまとめ、蓄積されたノウハウは、他の施設での方々にとっても広く利用可能なかたちで公開しています。この手法は、他のアニメーションなどの映像を使っても試してみることができる内容となりました。

■全国6ヶ所での上映会の実施

2022年度は全国6ヶ所で上映会やワークショップを実施。福祉施設とその利用者を対象とした上映ワークショップのみならず、一般に開かれた場所での上映会も実施し、多くの方にご来場いただきました。

活動報告書


「福祉施設での上映会とワークショップ『PAPER?/かみ?』記録集」

ギャラリー

広報制作物

メディア掲載情報

関連@オンライン

クレジット

音楽:蓮沼執太
映像:水尻自子
協力:梅原徹、社会福祉法人印旛福祉会 いんば学舎・陣屋
助成:公益財団法人森村豊明会
コーディネーター:米津いつか
プロジェクトマネジメント:和久井碧
プロデューサー:金森香
企画・制作:THEATRE for ALL(株式会社precog)
主催:一般社団法人DRIFTERS INTERNATIONAL