「国東半島芸術祭」飴屋法水×朝吹真理子『いりくちでくち』
プロジェクト概要
バスも市街地から1時間に1本しかないような過疎地域。渡来文化と土着の文化が混じり合い、独自のアニミズム文化を形成してきた大分県国東(くにさき)半島。この場所で、アーティストの感性と、国東半島の土地の力や歴史・文化が出会うことで生まれる作品を鑑賞しながら地域を巡ることができる、「旅としての芸術祭」、国東半島芸術祭が開催されました。precog代表中村茜は、「パフォーマンスプロジェクト」のディレクターに就任。アーティスト・飴屋法水、朝吹真理子と共に、2年のリサーチを経て、2012年および14年にアートツアー『いりくちでくち』を上演。「家」や「家族」をモチーフに、国東半島に伝わる神仏習合の逸話や習わしをベースにしながら、地域に流れる時間を追体験する12時間に及ぶツアーを実施しました。
企画・ディレクション/イベント/公演制作, 地域活性◼︎ プロジェクト期間
2012年1月〜2014年12月
◼︎ プロジェクト体制
主催: 国東半島芸術祭実行委員会
総合ディレクター:山出淳也(NPO法人BEPPU PEOJECT代表理事)
「パフォーマンスプロジェクト」
企画制作:株式会社precog
◼︎ 関連リンク
公式サイト:http://www.beppuproject.com/work/229
作品概要
国東半島アートプロジェクトツアー 飴屋法水×朝吹真理子『いりくちでくち』
1300年前の風景がいまだに残る大分県は国東半島の自然や神仏習合の文化、半島での暮らしとそこに流れる時間を感じながら巡る一日の体験。食事も含めて、その体験がひとつの作品として提示されるアートツアーを演出家・飴屋法水と小説家・朝吹真理子をはじめとするメンバーが国東半島に滞在し、現地の子供たちと出会いながら制作し、12時間に渡るツアーが巡行されました。
プロセス
◼︎2年間のリサーチ活動と地域住民との関係性づくり
ディレクターの中村茜やアーティストの飴屋法水らが3年間かけて現地に通い、リサーチを進行。国東半島の歴史や地域性、優れた文化など、アーティスト自身に作品の種になる国東半島の魅力をみつけてもらい、作品を育てて行きました。地元住民しか知らない場所や古くからの伝承などをヒアリングしたり、調査していく中で地域との関係性も構築していきました。
◼︎地域全体を跨いだ12時間に渡るアートツアーの企画と実施
アーティスト・飴屋法水演出で、日が昇ってから日が落ちるまでの国東半島全体を舞台とした、国東の生活と作品が一体化したバスツアーパフォーマンスを制作しました。国東市と豊後高田市の両方にまたがり、劇場の外まで含めた地域全体をダイナミックに使い、行政機関や学校、地域住民とコラボレーションによって生まれたツアー作品は12時間にもおよびましたが、連日全国から集まる観客で満席となりました。
◼︎地域住民もパフォーマー。国東のリアルタイムの人・場所を体験する仕掛け
アートツアーの作中、地元の人たちが出演しているのも本作品の重要なポイントでした。地元の高校生がナビゲーターとなったり、バスで立ち寄るスポットごとに、近隣住民が登場し、コミュニケーションをとる。地域のリアルと触れながら、観客参加型で、同時代的に進行していく、フィクションの世界。パフォーミングアーツであるからこそできる仕掛けにこだわりました。
成果
◼︎国東の人々にとって日常と思われていた暮らしや風景を、いま一度とらえ直すきっかけをもたらした。
作家視点で国東の歴史や地域性、独自性について作品を通じて発信したことにより、地域住民にとっても、観客にとっても、国東の魅力を再発見するきっかけをつくりだしました。
◼︎パフォーミングアーツだからこそできる同時代的な国東の魅力を提示した。
パフォーミングアーツの手法を使って、国東の人々の営みそのものに都心部からの観客を接続したことで、地域とアートを結ぶ新たな価値づくりのあり方を提示しました。
ギャラリー
メディア掲載情報
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2012年10月19日:1日の体験”が作品 11月国東アートプロジェクトバスツアー 毎週末に大分別府から|今日新聞
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2012年10月24日:来月3日から国東、豊後高田で国東半島アートプロジェクト ツアー参加者を募集|大分合同新聞
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2012年11月4日:作品の世界感じて 国東アートプロジェクト始まる ツアーで演出を体験|大分合同新聞
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2012年11月5日:芸術家の視点で魅力再発見 国東×異人|大分合同新聞 夕刊
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2012年11月15日:自然や宗教の根元を見るー国東半島×アートという試み。|BRUTUS
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2012年11月19日:東西南北|大分合同新聞
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2012年11月19日:国東半島「アートプロジェクト」に参加 芥川賞作家・朝吹真理子さん寄稿 イメージのもっと奥へ|大分合同新聞
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2012年11月22日:国東半島アートツアー「いりくちでくち」虚実のあわい 物語の一部として|西日本新聞
- 2014年12月31日:日常の身ぶりで祖霊の時間とむきあうドラマツルギー——飴屋法水『いりくちでくち』|ART iT
関連アーティスト
関連ショップ
クレジット
出演:大分県立国東高等学校双国校の3年生の皆さま、くるみ、吉武蓮太郎、藤原裕也
映像出演:青柳いづみ、上野一二美、Sam Fuller、Tran Minh Thuan、Phan Quang Thieu、古田恒河、森秀映、涌井智仁、朝吹真理子
演出・文:飴屋法水
文:朝吹真理子
音:zAk
映像:田村友一郎、涌井智仁
舞台監督:大田和司
制作助手・小道具:西島亜紀
衣装・小道具:コロスケ
音響製作:東岳志
舞台スタッフ:金城恒次、白藤垂人、小駒豪
映像記録:河合宏樹
制作:株式会社precog
制作アシスタント:水野恵美、兵藤茉衣(precog)
スタッフ:吉原彩乃、古田恒河、小山冴子
協力:伊美周辺の地域住民の皆さま、岩戸寺周辺の地域住民の皆さま、来浦中村区周辺の皆さま、千燈寺周辺の地域住民の皆さま、真玉海岸周辺の地域住民の皆さま、大分県立国東高等学校双国校、うれしや、香々地青少年の家、ka na ta、大分県立高田高等学校、特定非営利活動法人みずき、道の駅くにみ、有限会社大地、有限会社テラオカタタミ、湯の里渓泉、青柳いづみ、今熊豪宏、園田豊稔、谷知英、中野伸哉、平岡寛二、吉武一久、吉武喜美子、吉田拓也、吉田真由美
主催:国東半島芸術祭実行委員会
国東半島芸術祭 総合ディレクター:山出淳也(NPO法人 BEPPU PROJECT 代表理事)
国東半島芸術祭 制作:NPO法人BEPPU PROJECT