日本財団主催「True Colors Festival – 超ダイバーシティ芸術祭 –」事務局
- CATEGORY
- イベント形態|パフォーマンス, フェスティバル, ライブ, ワークショップ, 参加型
- precogの業務|イベント制作, 国際事業, バリアフリー, 人材育成
- 表現分野|ダンス, 映像, 演劇, 音楽
- 開催年|2020, 2019
プロジェクト概要
パフォーミングアーツを通じて、障害・性・世代・言語・国籍など、個性豊かな人たちと一緒に楽しむことを目的に計画された芸術祭「True Colors Festival- 超ダイバーシティ芸術祭 -」。
precogは多業種からなるフェスティバル運営事務局の統括を行いました。具体的には、事務局の窓口運営、進行管理、渉外や、情報保障の計画、アクセシビリティ対応に優れた会場設計・票券、関連ワークショップやボランティアスタッフの育成プログラムの企画・運営などを担当。
約1年間にわたる舞台芸術祭の運営は初めてのことであり、バリアフリーやアクセシビリティを高めた会場づくりは未経験からの挑戦でしたが、precogのその後の事業にも大きく影響する、大変重要なプロジェクトとなりました。
アクセシビリティ/バリアフリー対応, イベント/公演制作, 人材育成・コーディネート, 国際交流, 票券/客席デザイン
◼︎プロジェクト期間
2019年7月〜2020年4月
◼︎プロジェクト体制
主催:日本財団
共催:日本財団DIVERSITY IN THE ARTS
特別協賛:東急グループ、TikTok
協賛:Facebook、Twitter Japan株式会社、ヤフー株式会社、CINRA.NET、タイムアウト東京、渋谷キューズ、パイオニア株式会社
字幕協力:株式会社NHKグローバルメディアサービス
後援:渋谷区、日本障害フォーラム
True Colors事務局運営:日本財団、日本財団DIVERSITY IN THE ARTS、株式会社ロフトワーク 、株式会社precog、一般社団法人DRIFTERS INTERNATIONAL
◼︎関連リンク
公式サイト:https://truecolorsfestival.com/jp/
フェスティバル概要
「True Colors Festival – 超ダイバーシティ芸術祭 –」
「True Colors Festival- 超ダイバーシティ芸術祭 -」はパフォーミングアーツを通じて、障害・性・世代・言語・国籍など、個性豊かな人たちと一緒に楽しむ芸術祭です。
パフォーミングアーツのラインナップは、多国籍からなる障害者ブレイクダンスチームのダンスイベントや、年齢、国籍、障害の有無を問わず約100名のワークショップ参加者とアーティストたちで新しい音楽をつくるイベント、障害者による米国の劇団と日本人キャストによるミュージカル公演など、ジャンルにとらわれない多彩な演目が展開されました。
また、誰もが参加しやすいフェスティバル環境を目指し、手話通訳や字幕サービスなどの情報保障のほか、アクセシビリティを高める会場づくりやその支援を行うボランティアの育成など、さまざまな工夫や取組みを行いました。
※新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、3月に全演目の中止を公表した。
※2020年5月から新体制になり、オンライン上で再開。precogは、2019年7月から2020年4月まで運営事務局として参画した。
◼︎場所:東京都内を中心に開催
◼︎公式サイト : https://truecolorsfestival.com/jp/
Facebook: https://www.facebook.com/TrueColorsFestivalOfficial
Twitter:https://twitter.com/TrueColorsFest
instagram:https://www.instagram.com/truecolorsfestival/
プロセス
◼︎アクセシビリティ対応プロジェクトへの参画
precogは以前から、作品に多言語字幕を付けたり、海外の舞台芸術を日本に紹介するなど、国や言語を越えてアクセシビリティを高める企画・制作を行ってきました。また、子どもやファミリー向けプログラムにも高い関心を持ち、2019年より舞台芸術を”教材”と捉え、親子向け学習プログラムを開発するプロジェクト「コネリング・スタディ」にも取り組んできました。
コアな舞台芸術ファンではない人たちにどうリーチできるのかという関心があり、True Colors Festivalには、「福祉」と「芸術」の垣根を超える可能性を見出し、期待をもって参加しました。
◼︎フェスティバルの運営統括
主催である日本財団よりフェスティバル運営の依頼をいただきリサーチを開始。2019年6月にスタッフ15名ほどからなる運営事務局が発足しました。
precogは運営統括として、協働する他のプレーヤーとの連携を図り、必要なスキルをもつ人材を段階的に雇用していきながら事務局機能を設計していきました(最も多い時期では25名ほどの事務局メンバーを統括)。また、バリアフリーへの知識が必要だと考え、講習会の実施や、知見を共有していく工夫を重ねていきました。
運営事務局の業務としては、アーティストや会場、主催団体や制作会社、協賛企業、照明や音響などの技術スタッフ、宣伝や広報、票券や営業など、様々な役割のハブとしてフェスティバルを成功に導く役割となります。前例のないフェスティバルだからこそ、プロジェクト全体のビジョンを共有することの重要性を意識しつつ、未知のことへの想像力を働かせながら進行していきました。
◼︎アクセシビリティの企画・設計
あらゆるお客様が安心してイベントに参加できるよう、様々なアプローチで会場や対応を設計し、アクセシビリティを高めるを実践を積み上げました。
◉ゆずりあいエリア
True Colors DANCE(肢体障害をもつ世界的ブレイクダンスチーム ILL-Abilitiesによるパフォーマンス)では、障害者の方々の来場を想定して快適なスペースを作ろうと「ゆずりあいゾーン」を計画しました(後に「ゆずりあいエリア」と名称変更)。最終的には、障害者だけでなく子供づれの方や何らかの理由で「見づらい人」が来たらゆずりあう場として運営。いわゆる健常者の方にも「当事者」であるという意識を持ってもらえる場として企画しました。当日は、多くの方の間でゆずりあいが生まれ、利用してもらえる場になりました。
◉ピクニックエリア
True Colors BEATS(代々木公園野外ステージ・イベント広場にて約100名の参加者とアーティストで作る野外音楽フェス)では、「ピクニックエリア」を計画。大きな音や人混みが苦手な方のため、少し離れたところでゆったり過ごせる場所として企画しました。特に子ども連れの来場を想定しワークショップもできる子供向けエリアを設計。また、近くに授乳テントやオムツ替えテントを設置して、子ども連れでも安心な設備を計画しました。(台風のため屋内開場での開催に変更)
◉鑑賞サポートと客席設計
True Colors MUSICAL(障害者により構成されたアメリカの演劇カンパニー・劇団ファマリーによる舞台公演)では、障害の有無にかかわらず、多様な背景を持つ観客に広く楽しんでもらうことを目的として、上演前のあらすじ解説や、大・小道具や衣装を触ることができるタッチツアーを考案・実施しました。また、申し込み段階で座席の希望を聞くなどの鑑賞サポートも行い、ファミリー向けプログラムとして「ペア券」を発売。親子連れの来場を促すことに成功しました。
◉アクセシビリティを高める取り組み
True Colors Festivalではプログラムごとに座席配置図や最寄駅から会場までの段差の少ないルート、視覚障害者向けのルートをウェブサイトに掲載することで、会場に来る前段階でのアクセシビリティを高めることにも取り組みました。また、チラシなどの配布物にはユニバーサルデザインチェックを行ない、ウェブサイト自体もウェブアクセシビリティ規格への対応を目指して作成。「あなたを観客として歓迎します」というメッセージを発することに注力しました。
成果
◼︎イベント運営への評価の声
フェスティバルの性質上、障害当事者の方もたくさん来場されましたが、当日運営の丁寧さを評価していただくお声をたくさんいただくことができました。ハード面を完璧なバリアフリーにすることが難しいからこそ、スタッフの気配りやお声がけでソフト面でのバリアフリーを充実させたことが、良い評価につながりました。また、クライアントの方々からも、先を見越した事前準備や当日の対応なども行き届いていたと評価いただきました。
◼︎アクセシビリティ対応への知見獲得
プロジェクトを通し多様な人々と関わることで、アクセシビリティやダイバーシティに関する見聞が広がり、観客一人一人に対応が可能な幅広い知見を得ることができました。また、アクセシビリティ対応を学び実践することでスタッフの視野を広げ、より多様な人々に作品を届ける意識を強めることとなりました。そして、実践を通して多くのスキルを身に着けることができ、人材育成にもつながりました。
◼︎2020年以降のパフォーミングアーツを展望
今回の取り組みでは、舞台芸術の裾野を広げるためのアプローチを体現することができました。また、パフォーミングアーツにおける多様な観客や、アーティストが交流しているビジョンを持つことができ、今後の事業展開の足がかりとなりました。
ギャラリー
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提供:日本財団 DIVERSITY IN THE ARTS -
提供:日本財団 DIVERSITY IN THE ARTS 撮影:冨田了平 Photo by Ryohei Tomita -
提供:日本財団 DIVERSITY IN THE ARTS 撮影:冨田了平 Photo by Ryohei Tomita -
提供:日本財団 DIVERSITY IN THE ARTS 撮影:冨田了平 Photo by Ryohei Tomita -
提供:日本財団 DIVERSITY IN THE ARTS 撮影:冨田了平 Photo by Ryohei Tomita -
提供:日本財団 DIVERSITY IN THE ARTS 撮影:冨田了平 Photo by Ryohei Tomita -
提供:日本財団 DIVERSITY IN THE ARTS 撮影:佐竹邦彦 -
提供:日本財団 DIVERSITY IN THE ARTS 撮影:佐竹邦彦 -
提供:日本財団 DIVERSITY IN THE ARTS (日)撮影:冨田了平 (英)Photo by Ryohei Tomita
広報制作物
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全体チラシ
メディア掲載情報
- 2019年8月23日:<True Colors Festival> 記者会見でIVAN 、乙武洋匡、ラブリ、RYUCHELLが手話にチャレンジ|Qetic
- 2019年8月23日:“超”ダイバーシティって何? 色んなマイノリティの人たちで作る芸術祭始まるよ|HUFFPOST
- 2020年1月16日:1年をかけた芸術祭の運営、プリコグの新たな挑戦。True Colors Festival - 超ダイバーシティ芸術祭 -|precog note
プレスリリース
クレジット
主催:日本財団
共催:日本財団DIVERSITY IN THE ARTS
特別協賛:東急グループ、TikTok
協賛:Facebook、Twitter Japan株式会社、ヤフー株式会社、CINRA.NET、タイムアウト東京、渋谷キューズ、パイオニア株式会社
字幕協力:株式会社NHKグローバルメディアサービス
後援:渋谷区、日本障害フォーラム
True Colors事務局運営:日本財団、日本財団DIVERSITY IN THE ARTS、株式会社ロフトワーク 、株式会社precog、一般社団法人DRIFTERS INTERNATIONAL