日中韓芸術祭2021 in Kitakyushu
- CATEGORY
- イベント形態|オンライン配信, トーク・シンポジウム, フェスティバル, 展覧会
- precogの業務|イベント制作, 国際事業, 配信事業, 地域活性, 広報PR
- 表現分野|映像, 美術
- 開催年|2022, 2021
プロジェクト概要
日中韓3か国の共同事業として、毎年主催国が日中韓の優れた伝統文化と現代の芸術的発展の成果を紹介する「日中韓芸術祭」。
2021年度は、2021年4~7月に北九州市で開催された「北九州未来創造芸術祭 ART for SDGs」(ディレクター・南條史生氏)からコンセプトを引き継ぎ、メディアアーティストの落合陽一氏が総合演出を担当。「デジタル時代に花開く、時空間を超えたパッチワーク」をテーマに、日本・中国・韓国の装いの土着性や、その文化の根底に流れるサステナビリティを共通のコンセプトとし、3カ国が地理的な距離を越えて一つの場に集結したバーチャルファッションショー及びトークセッションの映像を制作とインスタレーションを実施しました。
プロジェクト全体のプロデュースを金森香(一般社団法人 DRIFTERS INTERNATIONAL)が担当し、メディアアート制作、映像制作及び配信コーディネート、映像作品公開記念トークの運営を株式会社precogが受託しました。
イベント制作、メディアアート制作、映像制作、配信コーディネート
◼︎プロジェクト期間
2021年8月〜2022年3月
◼︎プロジェクト体制
主催:文化庁・北九州市・東アジア文化都市北九州実行委員会
特別協力:中華人民共和国 文化・観光部、大韓民国 文化体育観光部
総合演出:落合陽一
プロデュース:金森香(一般社団法人 DRIFTERS INTERNATIONAL)
制作:NHKプロモーション、株式会社precog
制作協力:株式会社エモハウス
機材協賛:株式会社セイビ堂、株式会社Life is Style(3D Phantom)
小道具協力:東筑紫学園高等学校服飾専攻
会場協力:北九州市立美術館
◼︎関連リンク
文化庁公式ページ
北九州市ホームページ
作品概要
コロナ禍で渡航が厳しい中、3カ国共同イベントをオンラインで実現すべく、落合陽一氏の総合演出のもと映像技術を活用した作品を制作。バーチャルファッションショーとトークセッションともに、会場として決定していた北九州市立美術館で実施しました。
◉バーチャルファッションショー
日中韓3カ国がそれぞれデザイナーを選定し、現地でウォーキング映像を撮影。ホログラム技術を活用してそれらを投影することで、各国がバーチャルで一堂に会するファッションショーを映像化しました。
モデル:
(日本)冨永愛、Dulmi(Ayano Dulmi Obata)、Keishan、我妻マリ、マメ山田、Rabu
(中国)曽玲玲(ゾンリンリン)、李博文(リーボーウォン)、張伊寧(ツァンイニン)、牟蒙愛(ムーモンアイ)、楊新旭(ヤンシンシュ)
(韓国)수민(スミン)、최현준(チェヒョンジュン)、신현지(シンヒョンジ)、정소현(チョンソヒョン)、김설희(キムソルヒ)、배윤영(べユンヨン)
衣装:
(日本)YUIMA NAKAZATO、襤褸(アミューズミュージアム)、Snow Peak
(中国)楊 貝貝
(韓国)VEGAN TIGER、C-ZANN E、CARUSO、NOHANT、DEW E DEW E、ULKIN
音楽:ケンモチヒデフミ
映像監督・製作:bird and insect
総合演出:落合陽一
◉トーク&インターネット配信
落合陽一の司会で、本プロジェクトに参画した各国クリエイターの思想や創作背景に迫るトークセッションも企画し、トリリンガル翻訳映像を制作。3カ国で現地配信を行いました。日本では、バーチャルファッションショーの映像と併わせて文化庁公式YouTubeチャンネルで公開しました。
登壇者:
落合陽一、都倉俊一(文化庁長官)、南條史生、楊 貝貝、イム・ソンオク、冨永愛、中里唯馬(Yuima Nakazato)、山井梨沙(元・株式会社スノーピーク)、辰巳清(アミューズミュージアム)、中村崇之(日本環境設計)
プロセス
■文化庁による日中韓の文化交流事業のプロジェクトを、落合陽一率いるファッションショー制作の実績を活かして実行に
開催地となる北九州市固有の歴史的背景や、SDGsといった世界共通の課題などを踏まえ、落合陽一氏が企画をスタート。実働は、2021年に行った「True Colors FASHION 身体の多様性を未来に放つ ダイバーシティ・ファッションショー」の実績から制作チームを編成することになり、プロデューサーの金森香、映像制作会社のbirds and insectsなどが中心となり進行しました。
■日本の服飾文化とサステナビリティを提案
落合陽一氏を中心とする映像・作品制作チームと、ファッション分野の企画制作チームを掛け合わせて企画を練り上げました。
日本側のファッションパートのクリエーションとしては、落合氏のコンセプトを受け、サステナビリティを象徴する存在として襤褸(ぼろ)、持続可能性をデザインで読み解いて新たなモードを繰り出し続ける中里唯馬(YUIMA NAKAZATO)、そして日本を代表するアウトドア総合メーカーでサステナブル素材を活かしたプロジェクトを推進している「Snow Peak」を打ち出すことに決定しました。
襤褸(ぼろ)は、400年以上前から農民らが着用していた野良着や日常着を庶民の手で日々繕い、染め直すことで修復されて何層にもなったドテラのような衣服や古布で、近年国際的な評価の高まっているアートテキスタイルです。今回は、その貴重なアーカイブコレクションを有するアミューズミュージアムの協力を得て、非常に珍しいミュージアムピースを活かした撮影が特別に実現しました。
■バーチャルファッションショーの制作
1. ウォーキング映像・素材撮影
撮影には、冨永愛氏を筆頭に、Dulmi(Ayano Dulmi Obata)氏、Keishan氏、我妻マリ氏、マメ山田氏、Rabu氏ら6名のモデルが参加。作品のメッセージに共感し体現する多彩な顔ぶれが集まり、落合陽一氏のディレクションで撮影を実施しました。ミュージアムピースである襤褸(ぼろ)は、非常に繊細な扱いが求められる中、バーチャルなランウェイを想定したホログラム出力用のクロマキー撮影、落合氏本人によるスチール撮影や素材撮りなどを数日間かけて行い、映像チーム、モデル、スタイリスト、メイクアップアーティストらが集中して協働した現場となりました。
2. 編集・合成など
3DPhantom(ホログラム出力機器)への投影映像やLEDモニターへの投影映像を制作。事前に撮影したモデルのウォーキング映像を投影可能な状態にするための編集や、北九州市立美術館でのホログラム投影インスタレーションに向けた綿密な調整作業を重ねました。
3. ホログラム出力とインスタレーション
北九州市立美術館の水盤のあるアトリウムに、ホログラム出力機器や巨大な高精細LEDモニターを設置。来賓とプレス向けの限定的なクローズドな内覧会として、日本側の素材を使ったバーチャルファッションショーのインスタレーション作品を発表しました。その後、ホログラムで映し出されるモデルの姿やテキスタイル素材のクローズアップ、デジタルノイどの水面へ映り込みが相互に作用して生み出す幻想的な空間を、改めて配信用に映像収録しました。
<インスタレーションの様子>
■トーク&インターネット配信の制作
◉トークセッションの収録
ファッション、サステナビリティに関する有識者のトークセッションを計4本収録しました。
・落合陽一 × 楊貝貝(中国) × イム・ソンオク(韓国)
・落合陽一 × 都倉俊一 × 南條史生
・落合陽一 × 冨永愛 × 中里唯馬 × 辰巳清
・落合陽一 × 山井梨沙 × 中村崇之
<左より、落合氏、 都倉氏・南條氏、落合氏・冨永氏・辰巳氏・中里氏>
◉インターネット配信用、中国・韓国側の映像撮影
中国、韓国側の映像は、ホログラム投影するための映像素材を各国で撮影し、渋谷の街で投影及び撮影する手法を採用。
各国での撮影に際しては、共通の仕様書を作成して現地チームに撮影を依頼し、最終的に日本で編集合成を行ったことで。コロナ禍においても、デジタル技術を活用した遠隔でも可能な国際共同制作が実現しました。
<渋谷での投影の様子>
◉インターネット配信用の映像制作
全ての撮影を終え、インターネットでの一般公開のための映像編集・制作を実施。弊社の進行管理のもと、落合氏とコミュニケーションを取りながら株式会社bird and insectがバーチャルファッションショー+トークセッションの映像を編集しました。鼎談のパートは東アジア圏への配信のために、日本語、中国語、韓国語の字幕をつけました。
■映像配信及び配信イベントの実施
文化庁公式YouTubeチャンネルと、各国それぞれの動画公開サービスを活用して、全編映像を一般公開。配信開始日は冒頭に落合氏生出演のトークの時間を設け、バーチャルファッションショーの配信を開始しました。当日はSNSで情報を発信し、配信情報の拡散、出演者紹介などプログラムごとに行い、生配信終了後はパートごとに切り出された個別映像を公開しました。
◉~落合陽一総合演出「日中韓芸術祭2021 in Kitakyushu」全編配信~
◉落合陽一総合演出「日中韓芸術祭2021 in Kitakyushu」バーチャルファッションショー
◉落合陽一総合演出「日中韓芸術祭2021 in Kitakyushu」introduction(落合陽一 x 都倉俊一 x 南條史生)
◉落合陽一総合演出「日中韓芸術祭2021 in Kitakyushu」Talk Session Vol.1(落合陽一(日本) x 楊貝貝(中国) x イム・ソンオク(韓国))
◉落合陽一総合演出「日中韓芸術祭2021 in Kitakyushu」Talk Session Vol.2(落合陽一 x 冨永愛 x 中里唯馬 x 辰巳清)
成果
■大型メディアアートインスタレーション作品の企画制作
弊社はこれまでパフォーミングアーツの企画制作を多く手がけてきましたが、今回、初めてメディアアート分野における大型インスタレーション作品の企画制作を行いました。コンセプトに沿ったモデルやデザイナーのブッキングから、最先端技術とのコラボレーション、各種撮影の進行管理や現場での運営など、これまでの経験を活かし、大規模な企画の実現に寄与することができました。
■コロナ禍での国際共同制作の実現
オンラインで日本・中国・韓国3ヶ国の共同制作の実現に向け、それぞれのローカルのプロダクションと連携をとり、先端的な映像技術を活用したクオリティの高い作品づくりに寄与することができました。
■配信作品の制作とイベントの盛り上げ
配信作品には3ヶ国語の字幕を付けたり、プレミア公開とともに総合演出の落合陽一氏のトークを配信するなど、これまでの弊社の配信事業のノウハウを活かし制作をしました。また、影響力のある出演者や関係者らのSNSを活用した発信も積極的に行いました。
ギャラリー
-
撮影:塩井一孝 -
撮影:塩井一孝 -
撮影:塩井一孝 Photo: Kazutaka Shioi -
撮影:塩井一孝 Photo: Kazutaka Shioi -
撮影:塩井一孝 Photo: Kazutaka Shioi -
撮影:落合陽一 Photo: Yoichi Ochiai -
撮影:落合陽一 Photo: Yoichi Ochiai -
撮影:落合陽一 Photo: Yoichi Ochiai -
撮影:落合陽一 Photo: Yoichi Ochiai -
撮影:落合陽一 Photo: Yoichi Ochiai
広報制作物
-
紹介映像
メディア掲載情報
- 2021年11月7日:落合陽一に聞くサステナブル 総合演出した日中韓芸術祭の背景|WWD
- 2022年3月3日:日中韓芸術祭2021 in Kitakyushu メイキングシーン公開 ~モデルウォーキング映像収録編~|文化庁広報誌 ぶんかる
- 2022年3月3日:日中韓芸術祭2021 in Kitakyushu メイキングシーン公開 ~北九州市での映像撮影編~|文化庁広報誌 ぶんかる
プレスリリース
関連@オンライン
クレジット
主催:文化庁、北九州市、東アジア文化都市北九州実行委員会
特別協力:中華人民共和国文化・観光部、大韓民国文化体育観光部
総合演出:落合陽一
スーパーアドバイザー:南條史生
出演:
《日本》冨永愛、Dulmi(Ayano Dulmi Obata)、Keishan、我妻マリ、マメ山田、Rabu
《中国》曽玲玲(ゾンリンリン)、李博文(リーボーウォン)、張伊寧(ツァンイニン)、
牟蒙愛(ムーモンアイ)、楊新旭(ヤンシンシュ)
《韓国》수민(スミン)、최현준(チェヒョンジュン)、신현지(シンヒョンジ)、정소현(チョンソヒョン)、
김설희(キムソルヒ)、배윤영(べユンヨン)
イントロダクション、トーク出演:
落合陽一、都倉俊一、南條史生、楊 貝貝、イム・ソンオク、冨永愛、中里唯馬(Yuima Nakazato)、山井梨沙(Snow Peak)、辰巳清(アミューズミュージアム)、中村崇之(日本環境設計)
衣装:
《日本》YUIMA NAKAZATO、襤褸(アミューズミュージアム)、Snow Peak
《中国》楊 貝貝
《韓国》VEGAN TIGER、C-ZANN E、CARUSO、NOHANT、DEW E DEW E、ULKIN
音楽:ケンモチヒデフミ
映像監督・製作:bird and insect
プロデュース:金森香(一般社団法人 DRIFTERS INTERNATIONAL)
制作:NHKプロモーション、株式会社precog
制作協力:株式会社エモハウス
機材協賛:株式会社セイビ堂、株式会社Life is Style(3D Phantom)
小道具協力:東筑紫学園高等学校服飾専攻
会場協力:北九州市立美術館