全国の福祉施設に視聴環境・体験を届けるプロジェクトの企画・運営

劇場をつくるラボ 2021

  • CATEGORY
  • イベント形態|ワークショップ, 参加型
  • precogの業務|バリアフリー対応
  • 表現分野|映像
  • 開催年|2021

プロジェクト概要

precogが運営するバリアフリー型の動画配信サービス「THEATRE for ALL」では、リサーチやインタビュー、視点のまとめや分析などを通して、文化芸術と福祉・社会包摂について考える研究所「THEATRE for ALL LAB」の活動を実施しています。

「劇場をつくるラボ」はその活動の一つとして、劇場に足を運びづらい方々が集まる障害者福祉施設での映像作品の視聴環境づくりを通じて、作品鑑賞のあり方やアートと生活の関係を考えるデザインリサーチプロジェクトです。

2021年は建築家の山川陸氏をディレクターに迎え、主にセノグラフィーの視点から検証を重ねることを中心に活動。パートナーに奈良県の福祉施設「たんぽぽの家」を、ゲストクリエイターに板坂留五(建築家)・渡辺瑞帆(セノグラファー)・梅原徹(美術家 / 音楽家)を迎え実施しました。

◼︎precogの業務
バリアフリー対応

◼︎プロジェクト期間
2021年2月〜2022年3月

◼︎プロジェクト体制
企画・制作:株式会社precog(THEATRE for ALL事務局)
主催:一般社団法人DRIFTERS INTERNATIONAL

◼︎関連リンク
THEATRE for ALL LAB:https://theatreforall.net/connect/

活動概要

本プロジェクトでは、映像作品を視聴するための音響・上映機材や小物、それらを使いこなすためのアイデア、利用した感想や意見のフィードバックシートをパッケージにして、全国の福祉施設へお届けしながら視聴環境のありかたをクリエーターと探求。

2021年2月に奈良県・たんぽぽの家の協力で活動を開始し、2021年3〜5月にはより多くの施設とトライアルを続けるためにクラウドファンディングを実施しました。

その後、頂いた支援を元に、2021年7月〜2022年2月岡山県・ぬか つくるとこ、東京都・愛成会、滋賀県・やまなみ工房、福島県・安積愛育園の合計4団体とトライアルを実施。福祉施設のスタッフとともに意見の交換や議論を行い、各施設の空間や施設利用者の特性に即した視聴環境のあり方を考察しました。トライアルの様子やそこで得た知見は、報告書にまとめ公開しました。

今後も、具体的で個別的な人と人、人と作品の間にあるコミュニケーションをより多くの人に共有し体験してもらえるよう、試行錯誤しながら活動を継続していきます。

プロセス

■「劇場」を開いていくために

THEATRE for ALLでは、完成した作品を配信するだけではなく、それを作る過程や届ける方法もあわせて考え続けることが、アクセシビリティを高めるために大切な活動だと考えています。

オンラインの劇場として映像作品を配信する中で、様々な障害当事者の視聴者に実際どのように鑑賞されているのか、また、そもそも視聴にあたってどのような障害が発生しているのかを知る必要があると考え「劇場をつくるラボ」を始動しました。

■たんぽぽの家でのトライアル

そもそも鑑賞環境にどのようなものがあれば、障害のある方たちも映像鑑賞を楽しめるのか?プロジェクト初の実施パートナーとして協力してくださったのは、奈良県の福祉施設たんぽぽの家 アートセンターHANAの皆さんでした。身体の麻痺で視線が下を向いている方が通りがかりに作品を見られるよう床にプロジェクションをしてみたり、一人で落ち着いて鑑賞できる一人用の鑑賞ブースを簡単につくれる機材を用意したり。施設のスタッフの方にご協力いただき、多くのアイディアを試していきました。

2021年2月16日ー26日
奈良県:たんぽぽの家 アートセンターHANA

■クラウドファンディング

4つの施設でのトライアル実施のためにクラウドファンディング・プラットフォーム MotionGalleryでクラウドファンディングを実施。たんぽぽの家でのトライアルの様子をアップデート投稿で詳しく紹介しながら、clubhouseでのトークや、オンラインミーティングを配信しながら、多くの方のご支援をいただきました。

▷ MotionGallery 全国の福祉施設に視聴環境を届けるTHEATRE for ALL「劇場をつくるラボ」プロジェクト!

■4施設でのトライアル

2021年4月からは、たんぽぽの家でのトライアルとクラウドファンディングでの支援を元に、4つのパートナー施設でのトライアルを実施。機材貸出しを行い、利用者の方にさまざまな作品を鑑賞していただき、モニタリングを継続しました。

<トライアル実施施設>

2021年8月10日〜19日
岡山県:ぬか つくるとこ
2021年11月9日〜19日
東京都:社会福祉法人愛成会
2021年11月11日〜11月25日
滋賀県:やまなみ工房
2022年1月14日〜2月17日
福島県:社会福祉法人安積愛育園 はじまりの美術館多機能支援センタービーボ

■「劇場をつくるラボ」公開報告会

2022年3月、約1年をかけたプロジェクトの公開報告会を実施。トライアルに協力してくださった施設スタッフの方、参加クリエーターとともに振り返りを行い、成果や気づきを報告しました。

「劇場をつくるラボ」とはなにか|「劇場をつくるラボ」公開報告会レポート 前編
「劇場をつくるラボ」とはなにか|「劇場をつくるラボ」公開報告会レポート 後編
「劇場をつくるラボ」公開報告会(動画アーカイブ)

出演者
<「劇場をつくるラボ」参加メンバー>
丹正和臣(ぬか つくるとこ)、青木信・玉村明日香(愛成会)、小西康文(やまなみ工房)、小林竜也・折笠弘海(安積愛育園)

<「劇場をつくるラボ」クリエイターチーム>
板坂留五(建築家)、梅原徹(音楽家)、渡辺瑞帆(セノグラファー)

<ゲスト>
長津結一郎(九州大学 大学院 芸術工学研究院 助教)、佐藤拓道(たんぽぽの家)

<モデレーター>
山川陸(「劇場をつくるラボ」ディレクター)、兵藤茉衣(THEATRE for ALL事務局)

成果

■福祉施設との協働

全国5ヶ所の福祉施設と連携して事業を行うことで、福祉施設の現状を深く知るとともに、これからの芸術と福祉の意義や可能性を探る重要な機会となりました。障害当事者と日々共に過ごす福祉施設職員の方々とともに、福祉が芸術に与える新たな視点や福祉現場における芸術の可能性を対話するなかで、福祉と芸術の共通言語を模索し、有意義なアウトプットを行うことができました。

■丁寧なリサーチとニーズの発掘

全国どこにでも展開できるキットの作成を企画していましたが、リサーチを経て明らかになったことは障害当事者や施設のあり方は実に多様であり、一律の展開は難しいということ。各施設に合わせた丁寧なリサーチとニーズの掘り起こし、施設に合わせた視聴環境をいくつも提案することで、様々な当事者との対話の場の作り方やクリエイティブな方法でプロジェクトを実施する知見やノウハウを獲得できました。

■あらためて「劇場」を考えるきっかけに

福祉施設での多様な上映実験を通して、「劇場」や「鑑賞体験」そのものを根本から考える良い機会となりました。THEATRE for ALLでは、事前解説動画の配信や事後に感想シェア会を行うなど、鑑賞の前後で体験を豊かにする工夫を行っていますが、当プロジェクトも「鑑賞」という行為のクリエイティビティをあらためて認識する重要なプロジェクトとなりました。

活動報告書

劇場をつくるラボ2021 記録集|前編(PDF)
劇場をつくるラボ2021 記録集|後編(PDF)

ギャラリー

広報制作物

メディア掲載情報

プレスリリース

関連プロジェクト

クレジット

ディレクター:山川陸(建築家・一般社団法人DRIFTERS INTERNATIONAL アソシエイツ)
クリエイターチーム:板坂留五・梅原徹・渡辺瑞帆

トライアル実施パートナー:
たんぽぽの家:佐藤拓道・中島香織・大井卓也
生活介護事業所 ぬか つくるとこ:丹正和臣・湯月洋志
社会福祉法人 愛成会:青木信(指定障害者支援施設メイプルガーデン)・玉村明日香
やまなみ工房:小西康文・棡葉朋子・棡葉昌大
社会福祉法人 安積愛育園:小林竜也(はじまりの美術館)・折笠弘海、佐藤雅俊(多機能支援センター ビーボ)

報告書編集:春口滉平
報告書デザイン:綱島卓也

企画・制作:株式会社precog(THEATRE for ALL事務局)
プロデューサー:金森香
プロジェクトマネジメント:兵藤茉衣・林芽生・黒木優花

協力:MotionGallery

主催:一般社団法人DRIFTERS INTERNATIONAL

クラウドファンディングにてご支援いただいた皆様のお名前はTHEATRE for ALL WEBサイトに記載しております。ご支援ありがとうございました。